焦点について
焦点とは、レンズを通った光などが集まる点です。焦点は、”点”と表記されていますが、光が波動の性質を持つことから、厳密には無限小の点にはなりません。 複数の光線が、幾何学的にある一点に集光されていたとしても、波動である光は回折し、また干渉し合い、 その結果、光のエネルギー(もしくは強度)は無限小の一点には集まらずに、波長程度の有限の領域に強度分布をもって存在することになります。 この強度分布が焦点(の大きさ)を決定します。
焦点近傍の光強度分布やその大きさは、レーザー顕微鏡やレーザー加工機などの、レーザー光の焦点を利用したテクノロジーの性能を左右します。 この焦点近傍の強度分布の理論は、波動光学を用いて確立され、また、その強度分布を制御する方法や、焦点を利用した様々な計測法・分析法が開発されてきました。 しかし完璧なレンズや光学系が、未だ存在し得ないことから、実際のレンズで生じる焦点の光強度分布は、理想的な焦点(理論値)と比べて劣化します。そのため、 様々な目的に応じて最適化(使用条件の限定と必要な性能の追求)されたレンズが、設計・製造され、様々な機器に利用されています。
今後、光の焦点に関するトピックスを取り挙げてして解説していきます。
(2018年6月)