代表メッセージ
大阪大学の理学部物理学科から生命機能研究科へと進学したこともあって、大学院時代の私には生物専攻の友人が多くいました。当時関心を持っていた自己組織化についてよく話をしていたのですが、あるとき友人からBZ反応という化学反応があることを教えてもらいました。普通なら均一に混ざり合うはずの溶液が、自発的に周期的なパターンを描き出す様子にとても驚きました。
大学院生時代の私は、当時立ち上がったばかりのリバネスという学生ベンチャーに加わり、子ども向けの実験教室をプロデュースしていました。メダカを使って環境ホルモンについて学ぶ実験教室を開催する機会があったのですが、私は自分が担当していた4人の高校生グループ向けに、自己組織化を紹介するオリジナルのテキストを作り、BZ反応を撮影した動画も用意して、そのおもしろさを目一杯伝えたところ、狙い通り大変驚いてくれました。実験教室が終わるや否や、興奮した顔つきで感想を話してくれて、アンケート評価は満点。自由記入欄にもびっしり感想を書いてくれて、仲間から「パーフェクト達成やな」と言われたことをよく覚えています。
この実験教室が原体験、というわけではありませんが、思い返せば私はいつも、お客さんを驚かせたいという思いで仕事に取り組んできました。製品でも、展示会でも、ホームページでも、ほかでは見たことのないものを作り込んで、驚いてもらいたいのです。
お客さんの期待に応えるという言葉をよく聞きますが、期待に応えるとはすなわち、お客さんの想定の範囲内の価値提供なので、「満足」はしてもらえますが、「驚き」は生まれません。お客さんに驚いてもらうためには、お客さんが考えもしなかったものを提供しなければなりません。期待に応えるだけでは不十分で、期待を越えなければいけないのです。
「満足」と違って、「驚き」には心を揺さぶる力があります。心を揺さぶられるような体験は、決して忘れられない思い出として心に残ります。心を揺さぶられるような製品は、その人の仕事や生活にとって欠かせない愛着のあるブランドになります。「驚き」は、ときにはその人の人生を変えてしまうこともあります。
サイエンスエッジが目指すのは、世界中の科学者やエンジニアの方々の心を揺さぶるような「驚き」のある製品を開発することです。
これまで見えなかったものが見える──
だれも評価できなかった物性値が測定できる──
膨大な時間をかけていた分析が一瞬で完了する──
そんな研究人生におけるハイライトと言えるような瞬間をお届けし、科学のさらなる発展に貢献すべく、精一杯取り組んでまいります。
今後ともご指導ご高配を賜りますようお願い申し上げます。
2024年1月
代表取締役社長CEO
内山 知也